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食品中の放射性物質に関する新基準値と自主検査について

 

 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、東北地方に未曾有の被害をもたらすとともに、この地震による東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏出事故は、原発周辺地域の環境汚染をもたらしただけでなく農産物も汚染し、食に対する消費者の不安を増幅しました。

 それから1年余りが経過しましたが、産地の詳細な検査結果によれば、食品汚染の状況は飛躍的に改善されています。また、平成 24 年 4 月 1 日からは食品中の放射性物質に関する新基準値が適用されています。しかし、福島の生産者は現在も風評被害対策に苦慮しており、事業者もその現実と向き合わざるを得ない状況にあります。

 こうした事態においては、何よりも科学的根拠に基づく冷静な判断と対応が求められます。このため、財団では、「食と放射能」をテーマに消費者、生産者、報道関係者、事業者、行政担当者など、食のリスクに関わる者が一堂に会した大規模な意見交換会を平成23年 3 月 22 日以降 7 回にわたり実施してきました。

 意見交換会では、食に関わる全ての関係者の冷静な対応が重要であるとし、そのためには、検査結果等の正確で適切な情報提供、放射能についての正しい知識の普及、流通している食品の安全を確保する国や自治体の検査体制の充実等について提言しています。また、国の新基準は極めて厳しい安全性を追求したものであり、この基準以上の自主検査は食品安全の科学から見て全く不要であるだけでなく、一部に広がっているゼロリスク志向を助長し、必要以上に消費者の不安を煽る結果になることについて懸念を表明しました。

 この、食品中の放射性物質の自主検査については、農林水産省も、平成 24 年 4 月 20 日に、「信頼できる分析の要件」を示して、自主検査においても食品衛生法の基準値に基づいて判断するように周知を要請しています 。

 食と放射能の問題は、消費者、事業者問わず日本国民が今後長期にわたって向き合っていかなければならない問題であり、財団としてはこれからも大きなテーマとして取り組んでいくこととしております。

  

                                                        平成24年4月25日